ヴォイトレレッスンの日々  

ヴォイトレに関わっている方とブレスヴォイストレーニング研究所のトレーナー、スタッフの毎日をとりあげていきます。

歌わずにしゃべる

「歌」と思うとどうしても 「歌専用のポジション」だったり「歌専用の声」のイメージが先行してしまい、会話の声とかなり乖離した状態になっている場合も少なくはないと思います。

ここでの「会話の声」というのは、弱々しい声で日本語を会話しているような声ではなく、あくまでもイタリア人がイタリア語を会話で使っているような声を指しますが、我々、日本人にも全くできないわけではなく、訓練すればある程度このような声で会話できるようになると思います。

歌っていて、例えば「高音域が出しにくい」とか、「なんとなく弱々しい」とか、「音程が不鮮明」というような事例において、却って歌いすぎている、つまり、よくない意味で「歌専用の声」を作り上げてしまっていることが考えられます。

この場合、先に述べたように、会話の状態からかなり乖離してしまっていることが考えられますので、歌うよりも、会話の声、言葉を力まずしっかり喋れる声というのを鍛えていくことが必要になっていくのではないかと思います。

一見、とんでもないように思える「イタリアオペラの声」も、その根本にあるのは、「イタリア語をしっかり喋れる部分の声」であり、変に声を狙ったり変えたりというものではないのです。声として、もっともシンプルな部分。その部分を活用して、語る延長線上に音やリズムがついたように扱えるようになると、今までとは違った状態で歌えるようになると思います。

しかし、この部分を鍛えることは、邪念を捨て己と向き合う修行のような練習を繰り返して得ることで、かなりの根気が必要です。(♭Я)