ヴォイトレレッスンの日々  

ヴォイトレに関わっている方とブレスヴォイストレーニング研究所のトレーナー、スタッフの毎日をとりあげていきます。

歌うように

ピアノなどの器楽曲の楽譜に、cantabile(カンタービレ=歌うように)という指示がよく見られます。楽器なのに歌うとはどういうことでしょうか?

雅楽の楽譜を見てみると、面白いことが分かります。雅楽は器楽のみの合奏曲で歌のパートはありません。なのに歌詞が書かれています。むしろそれ以外の情報はあまり書かれていません。

次に記すのは「越天楽(えてんらく)」という最も有名な雅楽曲の、篳篥(ひちりき)パートの冒頭です。

チラロルロ タアルラア

これは唱歌(しょうが)といって、メロディを覚える際に口ずさむ歌詞です。

実際のメロディはレーミーシーラシ

ミーミレミーミですが、譜面にメロディについての情報(音の高さや長さ)は一切書かれておらず、譜面にあるのは唱歌篳篥の指使い、あとは太鼓の鳴るタイミングのみです。要は楽器を練習する前にメロディは口ずさんで覚えてしまいなさい、ということです。

次に篳篥で稽古する段になると、必ず先生に「唱歌を吟じるように吹け」と言われます。まさにカンタービレです。

面白いことに、ほぼ同じメロディを奏でる龍笛の為の唱歌は歌詞が違って、冒頭はトラロルロとなっています。

やわらかで開放的な音を奏でるフエ系楽器の龍笛ではオの母音で始まり、鋭く指向性の強い音を奏でるダブルリード系楽器の篳篥ではイ母音で始まるわけです。ただメロディを学習するための適当な歌詞ではなく、楽器に合った音色までが体感できる仕様に驚かされます。

私は楽器パートに実際には演奏しない歌詞がついている音楽形態を、雅楽以外に知りません。しかし優れたピアニストが適当な歌詞で歌いながら練習している姿は時折見かけます。

音楽の原点は人間の声だと感じられるお話です。

今日のトレーナーのメッセージ

英語の歌をうたう場合は「ア」の母音を明るく発音しましょう。明るく聞かせるためには声をしっかりとお腹で支えて前に出す必要があります。日本語よりもパワーがいりますが、そうしないと声が弱く聴こえるので注意しましょう。(♭Σ)

レッスンからの声

首の脱力をしながら声を出すストレッチをしていると、左側が動かしずらいのがよくわかったから、そこを意識しながら1回1回ゆっくりほぐした。

その脱力の感覚でハミングやあくびでの発声をした。

ドレミファソファミレド「あ」で発声。後半に向けて支えが足りず、口が横に開いてしまう。だんだん縦に開いていく意識をするとなんとかギリギリできた。

それだけでなく、同時に脊椎起立筋やハムストリングも上下にのびるように意識し、内観する。

ドレドレドレ「いおいおいお」で発声。「お」で息を吸いながら「い」で吐く。「お」で注意するのは歯がみえないようにすること。ほほにくぼみ、シャドウができるようにすること。「い」では小鼻を持ち上げるが、ただあげるだけになってしまっていた。鼻の内側にフックをがついていて、上から引っ掛ける感じもイメージして歌うと響きが深くなった。さらに、ドレミファソファミレド「お」で発声。軟口蓋を持ち上げた状態でスタート。

「ハリーポッターと呪いの子 」(舞台)

前から10列目だったので、迫力がすごかったです。俳優さんたちは大きな声にもかかわらず、早口にはっきりとセリフを言うので圧倒されました。

声の曲がり角

よく「お肌の曲がり角」などという言葉があるように、肌も年齢とともに徐々に若いころの勢いが失われていく時期があると思います。それは個人差がありますし、お手入れ状況などによっても差として表れるのはいろいろな形があると思います。しかし、ノーメンテナンスで、毎日紫外線を浴び続けるような生活をし続けている人と、できる限りのメンテナンスを心がけている人では、メンテナンスを行っている人の方が、衰え方は緩やかになるのではないでしょうか。

これと同じような現象が声にもあるように思います。歌い手の場合、およそ40歳前後で声の劣化が現れるように思います。これは、若いころのパワーが年齢とともに衰えてくることで、力業では勝負できなくなってくるということのように思います。

お肌同様、日々メンテナンスを心がけてきた人と比べ、ろくにメンテナンスをせずに勢い任せだったり、自己流でやってきた人というのは、じわじわと衰えが生じてしまい、力んでしまったり、揺れてしまったり、支えが抜けてしまったりといった現象に見舞われることが多いように思います。声は放っておくと衰えるものです。だからこそ、日々のメンテナンスをしっかり行い続けることが大事だと思います。

本気で上達したいのであれば

巷には「たった〇〇するだけで上達できる」や、「すぐに上達する〇〇」などといった類の書籍が増えてきましたが、私の感覚からすると、すぐに得たワザというものはすぐに消失するであろうと思います。芸事というのは、時間をかけて、自分自身の感性を研ぎ澄ますこと。発声や音楽的なテクニックや知識を、染み込ませるように身につけること。内容や背景、時に歴史に至るまでの深い読解力や、発音からフレーズの作り方感じ方、そして語り方に至るまでの語学の深い知識を得続けることが必要だと思います。

発声や音楽的なテクニックや知識も、作品に関する知識や語学力・読解力も、得るためには相当な時間を要します。しかし、これらを蔑ろにしては、聞き手の情感に訴えかけるほどの作品は成り立たないと思っています。カップラーメンのような手軽さが当たり前になった昨今、手軽さのないものは嫌われがちですが、手間暇かけて丁寧に作品に向き合うことが、本当の意味での上達に繋がっていくと思います。

ヴォイトレの論点 更新

ヴォイトレの論点を更新しました。

75.『ヴォイストレーニング大全』での自主トレーニングへのアドバイス

是非、「ヴォイストレーニング大全」とあわせて、ご活用ください。

 

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今日のトレーナーのメッセージ

曲はZで歌ったことで、歌詞に戻ったときに息の流れがよりスムーズになりましたね。特に始めの上行形では一筆書きのような、ダイナミックなひとフレーズに聴こえました!(♯α)

レッスンからの声

身体を左右に振りながら息吐き。

息を3回に分けて吸って、肺をいっぱいにして、キープ、10秒カウント。

鼻から息を吸って、ズー、両手を脇腹に当てて、お腹で手を押し返す。

ザンザンザーーーーーンザンザン(ドミソミド)つま先でゆっくりゆっくり足踏みしながら。リズムはあっていなくてOK。

片足立ちでフラフラしながら歌う。声がブツブツきれないように、つながるように意識する。うまくいきそうだったら止まっても同じように歌えるかやってみる。