ヴォイトレレッスンの日々  

ヴォイトレに関わっている方とブレスヴォイストレーニング研究所のトレーナー、スタッフの毎日をとりあげていきます。

ブレスの基礎訓練

私が推奨しているブレスの訓練の一つは「ファリネッリの呼吸」と呼ばれる訓練です。ファリネッリというのは、実在したイタリア人歌手です。現在では存在しないカストラートと呼ばれる去勢歌手達の中で最も有名な歌手です。カストラート変声期前に去勢を行い、声変わりが起こらないように外科手術を受けた歌手達のことです。身体の筋肉は男性のまま、女声と変わらない音域を維持していました。その「ファリネッリの呼吸」として現代でも伝わっている呼吸の訓練法を紹介したいと思います。

1.4秒かけて息を吸います

2.4秒息を止めます

3.4秒かけて息をはきます

これだけです。このとき気をつけてほしいのは1で胸が広がり、2でそれがキープされていることです。これが支えと連動していきます。日本人は息を吸う力が弱いです。結果、身体をキープする力や吐く力も弱いです。このトレーニングは声を必要としないので自宅でできる訓練です。4秒と書きましたが慣れてきたら秒数を増やして10秒~12秒くらいをめざしてほしいです。

肩や胸に力が入るのではなくブレスで身体が広がっていくことが重要です。風船に空気を入れていく感じでしょうか。息が入る肺という器官は息が入ってくると大きく広がります。それが下までしっかりと入りきると、肺の下にある横隔膜が下がり、横隔膜の下にある胃も下がります。これが腹式呼吸です。

自分は腹式呼吸やっていますという人の多くは、ブレスで肺が下がり横隔膜が下がったのではなく、腹筋でお腹を前にだしているだけのことが多いです。お腹が前にでることが目的になってはならず、しっかりと吸う、肺を満たして、身体が広がる。この連動を指して腹式呼吸といいます。その訓練としてやりやすいのがファリネッリの呼吸です。