ヴォイトレレッスンの日々  

ヴォイトレに関わっている方とブレスヴォイストレーニング研究所のトレーナー、スタッフの毎日をとりあげていきます。

常識の変化

ここから書くのはあくまでも私の主観です。私が学生時代、多くの先生方から言われたのは「ブレスは鼻から、音を立てないで、顔は口角を上げて笑顔で、ブレスはお腹に入れて、丹田を意識して…」などでしょうか。これは古今東西、多くの教育現場で言われていることだと思います。

しかし、YouTubeなどで黄金時代と言われた1940~1970代の人々のフォーム、表情などをみてみましょう。胸は息でパンパンに膨らんで、息の音など鮮明に聞こえてきます。喜怒哀楽それぞれに表情があり、口角をあげなければ声がでないということはありません。

これは、私が若い頃、海外の公演の合唱の仕事で、黄金時代に活躍したコッソットというメゾ・ソプラノ歌手と同じ舞台に乗った時の話です。後ろから、横から見るコッソットは、吸気で肺や胸郭が大きく広がり、ブレスの音はとても大きな音を立てていました。

現在では声の世界でも歌っているときの体を内視鏡MRI、超音波などで、体の中を見ながらの研究が行われています。これまでは「声は見えないもの」という前提で感覚の話が多く使われてきました。しかし、声の研究も進み、これまでの常識が少しずつ変わってきています。

我々、ヴォイストレーナーも自分の感覚だけのものから、現在新しくわかってきた体の使い方などを学び続け、アドバイスできる引き出しを増やし続けなければいけないと思っています。(♭Σ)