ヴォイトレレッスンの日々  

ヴォイトレに関わっている方とブレスヴォイストレーニング研究所のトレーナー、スタッフの毎日をとりあげていきます。

男声と女声(その1)

今は舞台で活躍する女性演奏家は普通に居ますが、歌舞伎の音楽では芝居に参加できる女性演奏家は皆無です。これは江戸時代に徳川幕府によって女性は舞台に上げてはならないと定められたものが未だに踏襲されて来た結果です。先日、十三代目市川團十郎白猿襲名の折、お嬢さんの市川ぼたんちゃんが出演しましたが、これは40数年ぶりのこととはいえ、あくまで役者であり地方(ぢかた)と呼ばれる演奏家としての出演ではありません。

女性が長唄とどう関わって来たかについて、昔、先輩の師匠から次のような話を聞いたことがあります。プロの演奏家になるために師匠に弟子入りすると、劇場の下働きをしながら見習い生活を送るのですが、師匠達は舞台で忙しく、お弟子のレッスンにかける時間がない。そこで街で長唄を教えている女性師匠にレッスンして貰い、そこである程度の力がついてから歌舞伎の舞台に乗ったものだということです。