ヴォイトレレッスンの日々  

ヴォイトレに関わっている方とブレスヴォイストレーニング研究所のトレーナー、スタッフの毎日をとりあげていきます。

舞台のレポート

市川海老蔵さんの息子さんである勧玄君が、歌舞伎座でつとめた外郎売の長台詞を言っているシーンを拝見しました。4分もあるセリフとのことですが、素晴らしいセリフ回しに、映像であるにも関わらす大変感動しました。言いよどみがないなどという低い次元の話ではなく、節回し、声の扱い方、抑揚、目線、そして心意気、とても子供のやっているセリフとは思えない素晴らしい出来でした。

伝統芸能の世界では、子供時代は、あまり難しいこと要求せず、出る声をのびやかに出していればそれで許されるという向きがありますが、彼のセリフは、誰に教わったか声の抑揚がしっかりつき、地声裏声の節回しも見事に使い分けていて、小学生ながらその意志を感じるセリフ読みでした。

よく歌舞伎の世界ではその家の女性親族が裏方に回って踊りやセリフ回しを伝承していくと聞きますが、もし女性がセリフの手ほどきをしているなら、子供にとっては真似しやすい音声かと思います。そして音のみならず、目線が素晴らしかった。ここぞという場面では、ほとんどまばたきをせずセリフにひたすら集中していました。

海老蔵さんが子供のころに同じ演目をやった映像が比較に流れていました。テレビで海老蔵さんが、息子は、当時の自分の演技よりうまい、素質があるなどと言っていましたが、まさにその通りではないかと思わされるできに感じました。(♯β)