私自身の実体験でいうと、声楽という分野でレッスンをこれまで受けてきて、頭やマスケラ、鼻腔に共鳴させるということはたくさん言われてきましたが、胸に響かせるということは日本では言われたことはありません。
胸の声は声楽の世界ではタブーのように扱われていた時期さえあると考えています。しかし、海外の歌手の多く特にバリトンやバスなどのあの体全体が響いている声は、頭周辺だけの共鳴ではないと考えています。
特に最近はイタリアやドイツといった国よりもロシア、スロバキア、チェコなどの東欧と呼ばれる国の歌手が世界で活躍していることに驚かされます。
低いポジションでしゃべることができる彼らが体全体を共鳴させたときの迫力たるや、日本人では勝負にならないでしょう。顕著なのはバス歌手とソプラノ歌手です。地鳴りのような低音をだすバス歌手もいれば、男性のような低音から高音まで強靭な声でだすソプラノは一度聞くと、ほかが物足りなくなってしまうと思います。しかし、単純に胸に押し付けるのではなく、胸の響きも使いながら全身をつかっていくイメージで捉えることだと思います。(♭Σ)