発声練習というと母音やマ行やラ行が比較的多く使われる言葉ではないでしょうか。それぞれに意味があるとは思いますがガ行のトレーニングにもとても重要な要素があります。しかも日本人の弱い部分のトレーニングとして有効です。ガ行は声門閉鎖が起きやすい言葉です。
日本人の声は息漏れが多く、声門がしっかりとしまらない状態が多いです。近年のポップスの多くは息漏れしていることが多く、著名なポップス歌手でも声帯に問題を抱えていることが多くみられます。ハスキーな声は一見セクシーに聞こえ、甘く美声に聞こえるのですが息漏れ声の代償はけっして小さくありません。個人的には、声に悪いと言われる酒、タバコ、睡眠不足、烏龍茶などよりもよっぽど息漏れの方が危険と思われます。
そのような症状がある場合はガ行のトレーニングがよいでしょう。私自身がよく使うのは「ゴ」や「ゲ」です。しっかりと発音して声を前にだしていきます。そうすると次第に息漏れが改善していくのがわかります。マ行やラ行などは共鳴や支えなどの感じやすくするために発声練習にとりいれられることが多いのですが、ガ行はそれらとは異なり息漏れを改善するためのトレーニングです。決して美声である必要がありません。よい響きのためのトレーニングとは違うからです。しかし、外国人と比較したときに基礎の声の部分で日本人が弱い部分の一つであることは確かです。歌い手だけでなく役者や声優などにもとても大事なトレーニングになりえると考えています。