ヴォイトレレッスンの日々  

ヴォイトレに関わっている方とブレスヴォイストレーニング研究所のトレーナー、スタッフの毎日をとりあげていきます。

「初心忘るべからず」

これは、能楽の大成者、世阿弥の有名な言葉です。一般的には「物事に慣れると慢心してしまいがちだが、最初の頃の志を忘れてはいけない」という意味で使われて居ます。しかし原典にはこのように書かれて居ます。「是非の初心忘るべからず(未熟だった時の芸も忘れることなく、判断基準として芸を向上させて行かなければならない)」「時々の初心忘るべからず(その年齢に相応しい芸に挑むということは、その段階においては初心者であり、やはり未熟さ拙さがある。そのひとつひとつを忘れてはならない)」そして「老後の初心忘るべからず(老年期になっても初めて行う芸という物があり、初心がある。歳をとったからもうよいとか、完成したからということはない)」

世の中は刻々と変化して居ます。そして私たちの肉体も刻々と変化します。勉強は一生続きます。「努力は恐ろしい。努力に慣れるとその先の目指していたものを見失うよ」と世阿弥は教えたかったのだと私は思います。