ヴォイトレレッスンの日々  

ヴォイトレに関わっている方とブレスヴォイストレーニング研究所のトレーナー、スタッフの毎日をとりあげていきます。

間違えないように歌いたい。

「プロって間違えないんでしょ。」と聞かれることがあります。これは半分はあっていますが、半分は間違っています。プロたるもの、間違えずに、つまり歌詞と音程とリズムを正しく歌うことができるでしょう。でもそれだけでプロということができるでしょうか。プロというのは、何よりもまず、それでお金をもらう人のことです。歌がうまいだけで、間違えずに歌えるだけで、お金がもらえるでしょうか。面白いもの、プラスアルファのものがないと、なかなか金を払おうとはならないのではないでしょうか。

ピアニストのフジコ・ヘミングは「間違えたっていいじゃない、機械じゃないんだから」といいます。確かにこれからの時代、AIはさらに、人よりもうまく速く演奏できるようになるでしょう。AIに心はありません。(できるとしても遠い先のことでしょう。)

音楽は心から出て心に入るものです。心から表現をしようとするあまり、つい間違えたり、音程が上ずったりしてしまいます。それでは、プロとは言えないかもしれません。でも少なくとも「何かを表現したい」と思っている限り、悪いことではないと思います。そもそもファンになってくれるかどうか。これが大切です。これは好みかもしれませんが、クールな表現者より、「音楽大好き、楽しい、伝えたい!」と表現している人を私は好きになります。あなたはどうでしょうか。