ヴォイトレレッスンの日々  

ヴォイトレに関わっている方とブレスヴォイストレーニング研究所のトレーナー、スタッフの毎日をとりあげていきます。

あくびの効用

昔から、あくびをするときのような喉で、歌うということは、よく言われてきましたが、実践している人は、あまりいないようです。「口の中を広く」とか、「喉をあけて」など、口から喉までの空間を、より広くするように指示するアドヴァイスはよく耳にしますが、実際にはどうしたらよいかわからない人のほうが、多いようです。それは、その人なりにがんばってあけているつもりでも、余りあいていないということが、原因なのでしょう。
そこで、あくびです。あくびをしながら、口の中や喉をよく観察してみるとわかると思いますが、これほど効率よく、口の中から喉までの空間を無理なくあけることができる方法は、なかなかありません。しかも、自然にできるということが、ポイントにもなります。口の中や喉を、もっとあけるように注意をされている人は、毎日頻繁に、あくびをする練習をしましょう。その時に、楽に大きく、口の中や喉をあけることを意識していくことが大切です。そうすれば、近い将来、口の中や喉が、楽にあけられるようになるでしょう。(♭Ξ)

声のレッスンの感想

1.呼吸練習

鼻から、脳に吸い込む。(頭の中の古いものを洗い出し、新しいものに入れ替えるように。)
事実、鼻から吸い込まれた息は、脳へ届く!
やがて、体の中に「一本の柱」が形成されてくる。
次は呼吸のテンポを速め、鼻から吸って腹を膨らまし、鼻又は口から吐いて腹を凹ませる。
2.ハッハッハッハッハ」の発声練習
呼吸練習で作り上げた働きを応用する。
3.「おでん屋」(「声と言葉のトレーニング帖」P89
4.「フーテンの寅さん」 (「声と言葉のトレーニング帖」P89
テンションを盛り上げて読むのも一手ではあるが、敢えて盛り上げずに読んでみるのもトレーニングの一手として有効。
(例)やる気がなく、嫌々読む。或いは、ニュースキャスターのように淡々と冷静に読む。など。
いろんな表現方法で練習すると有効。
いろんな読み方(語り方)を試すことで、より幅広い表現ができると共に、より良い表現方法を見出せるようになりました。

今日のトレーナーのメッセージ

階名、歌詞でも口を開けて歌えうことが実現していましたね!「顎を動かす」ことで反応が機敏になる、力む前に口を開けることが可能になっている、だから息も流れやすくなる、といった相乗効果がもたらされています。(♯α)

歌のレッスンの感想

1.息つぎについて。歌うときはMaxの8割くらいを吸っている。
2.息を使わないで発声していく感覚がわかるのに、5、6年はかかる。
3.今は息を節約しない。声を出していくこと。
今は息の節約を気にしなくてよいということで、楽になった。(II)  

声のレッスンの感想

1.音をつけての発声
ゆっくりと吸う
息をお腹の下まで通す
上半身が力まないように注意
たくさん吸いこもうとすると、掃除機のようになってしまうのでそうならないよう
にする。
腰がそってしまうことがある
お腹周りが縦横全体に膨らんでいくイメージで吸うとよい。
2.1の発声の要領で読むことで、声の裏返りを防ぐ感じがする。
せりふでは、言う前の呼吸と表情を常に忘れずにする。(SW)

体・息・声の連携

私がレッスンの中で大事にしていることは、自分自身という楽器をつくるということと、その楽器の扱い方を理解するということです。既製品の楽器であれば、楽器屋さんに行けば手に入りますが、声を使う人の場合、もともと持っている楽器の元となる部分を組み合わせていき、それらを自在に扱えるようにしていく作業が必要不可欠です。これらを行うために必要なこととして、「体・息・声」を連携させることを大事にしています。これらがバラバラの場合、なかなか思うように扱えないのですが、連携するトレーニングを積んでいくと、徐々に変化していきます。
たかだか、息を吸ったり吐いたりするだけでも、いつもと同じように行うのと、しっかり体を使って行うのとでは、雲泥の差となります。自分自身もそうですし、人がよく言う感想としては、「お腹と背中がくっつきそうなくらい絞り出す感覚になる」、「疲れる」、「運動しているような感じで暑い」というようなものがあります。それだけ息を吸ったり吐いたりするって、大げさに行うと大変なんです。それくらいのキャパシティに対応できるように自分自身を磨いていけると、いずれ、大きな成長を迎えることができると思います。(♭Я)    

物事のとらえ方

レーニングの過程において、うまくいくこともあれば、なかなか進歩しているように感じられないような時期もあります。レッスンに通い始めてから最初の頃は、右も左もわからないような状況の中、とにかく目の前に与えられた課題をこなしていくことだと思います。
そして、早い人では数か月経った頃から、なんとなくではあっても、徐々に良し悪しがわかりはじめます。このころに「うまくいった」という感覚と、「なんだか変な感じでうまくいかない」というジレンマが始まります。もし、仮にうまくいかないということが続いたとしても、考え方では、「違和感を覚えるという段階まで成長した」ということなので、その成長を認めてあげるといいでしょう。
うまくいかないことのほとんどは、自分自身ではなかなか解決できない問題なので、レッスンの中で一緒に解決していきたいと思います。一見、ネガティブな感覚でも、考え方ひとつで、とてもポジティブな現象であることに気づくこともあります。たとえ辛いことがあったとしても、悲観的にならずに、前を向いて、頑張りましょう。(♭Я)

指導者側とプレイヤー側の両面で考える

教えることの難しさが理解できる指導者ならば、たくさんの人数のレッスンをおこなうことはおそらく避けると思います。多くの人の声を聴き続けるということは歌っていなくても自分の喉へのダメージが大きいからです。一日稽古場で歌っているよりも10人以上レッスンするほうが翌日の喉へのダメージは大きいです。
しかし、指導者としてのスキルをあげるためには数をこなさないとダメだと思っています。色んな声、いろんな発声の状態、いろんな性格の人々と接して実際にいろんな症状、発声、メンタルの人たちと向き合わないと指導者としては成長はないと思っています。
質を問うこともできますが、数がものをいうこともあります。病院の医者でも、物凄い論文を書く医者よりも、数多くの症例をみてきた医者のほうが信頼できることも多いと考えているのでいろんな人々と接するというのは我々の大きな武器です。
数をこなしながら、喉にダメージを負いながらも教える仕事に従事してくるとだんだんバランスが取れ始めます。ダメージをカヴァーできる発声力も当然必要ですが、いい意味でも生徒との接し方、力の抜き方も感覚としてわかってきます。(♭Σ)

低くなくても低そうに聞かせる

最近は、さすがに男性歌手の高音ばやりも行きつくところまで来たのか、低音を充実させたいという人が、時々いらっしゃいます。声域は、どうしても声帯の大きさなどに左右されるところも大きいので、ある程度の限界があるのですが、長い時間を費やせば、それすらも変えていくことは、可能なようです。ただし、多分10年単位ぐらいの時間は覚悟しなければなりません。そこで再確認したいのは、普通の人以上の低音を、本当に出したいのかどうかということです。
オペラ歌手の場合は、この音程が出せなければ、一部のオペラは歌えないということになり、バス歌手としては肩身が狭くなってしまうということになるのですが、ポップスなど他の分野をめざしている人の場合、実際には、低い音程を出したいのではなく、太くて低そうに聞こえる声を出したいというのが、本来の目的であることが少なくありません。ですから、人並み以上の低音をめざすよりは、声の出せる低音を、より低そうに立派に磨いていくほうが、何10年もかけずに達成できる、より現実的な取り組みになるのです。(♭Ξ)