ヴォイトレレッスンの日々  

ヴォイトレに関わっている方とブレスヴォイストレーニング研究所のトレーナー、スタッフの毎日をとりあげていきます。

トレーニングに没頭する時期をつくる

 

声の基礎力を高めるならば、ある一定期間、1~2年間ほど声だけに集中する期間を作れるとよいと思います。理想だけで言うならば、毎日毎日レッスン漬けの状態を作れると最高です。

例えば週に1回レッスンを受けても週6日が自主練になると、改善することもあると思いますが、崩れるリスクも高いです。これが二週間に一回、一か月に一回となっていくとさらにリスクは高まります。

目に見えない声というものをよくするとなると、自分だけのトレーニングは真っ暗な森を明かり無しの状態で探索するようなものです。ヨーロッパに行くと自主練を禁じている指導者もいます。それよりもレッスンに毎回来ることを大事にする指導者がいるのです。知識ではなく指導者とマンツーマンで身体で覚えていく。身体が覚えるまで指導者も付き合い、クライアントもついていく。このような状態を一定期間もてるようになると声の基礎力を安定させやすくなるでしょう。数をこなすということよりも、自分だけでやらないということの方が大切だと思います。

安定した基礎を手にいれたとしても、舞台でパフォーマンスを繰り返すと少しずつ基礎力が崩れてきます。それを立て直すのもヴォイストレーナーの仕事の一つです。声のことを理解している歌手はツアー前後に指導者のもとでメンテナンスを行いますし、もっと注意深い方だとツアーにヴォイストレーナーを帯同させて毎日のステージの前に発声練習を行ってもらったりもします。プロになればなるほど、一人でやるリスク、基礎力が崩れるリスクを理解しそのリスクの軽減に努めます。

ここは根性や個人の頑張りではなく、そういう楽器という理解をもつことも重要です。壊れるとメンテナンスに出して修理してもらうというような簡単にはいかないのが声です。基礎力を高めるということは自分を守る盾にもなりえます。