ヴォイトレレッスンの日々  

ヴォイトレに関わっている方とブレスヴォイストレーニング研究所のトレーナー、スタッフの毎日をとりあげていきます。

しゃべるように歌う

歌を学んでいく過程で「しゃべるように歌い、歌うようにしゃべる」というようなアドバイスをされることがあります。これは発声の基礎部分のとても大切なことを端的にアドバイスしてくれていると思っています。話す声は基本的にそこに力みはありません。家族や友人との何気ない会話の延長によく通る声はあります。つまり歌う声の根本はしゃべる声です。

日本人は子供のころから静かに暮らし、子供の大きな声、元気な声を大人が抑制させる傾向があります。本来もっている声のポテンシャルを子供のころに弱めてしまうので、日本人の大半が、自分たちが思っている以上に歌声よりも話す声、台詞の声が諸外国の人々と比べて弱いです。結果的に声の基礎部分で大きな差が生まれてしまいます。

しゃべる声がよく通る声になっていけば、言葉も明瞭になり音楽的表現、歌詞の表現もよりナチュラルになることでしょう。しゃべっているときは眉間に皺がよったり、目を常に見開いたり、不しぜんなほどの笑顔にはならないでしょう。その意味でも日常の会話よりも大きな動きというのは本来歌声にも必要ありません。日常のしゃべる声よりも大きな顔の動きというのは本来、声には必要ありません。お腹を固めすぎたり、無理やり深い声をつくるというのとも違います。あくまでも日常のしゃべる声の延長に、ナチュラルなよく通る歌声はあります。