ヴォイトレレッスンの日々  

ヴォイトレに関わっている方とブレスヴォイストレーニング研究所のトレーナー、スタッフの毎日をとりあげていきます。

男声と女声(その2)

楽譜のない時代、師匠のコピーが稽古の形式ですから、まず女性的な声を身につけることから(男性の場合です)修行が始まったわけです。

このコロナ禍で古い音源を聞き込む内に、この経緯により中性的な声であった邦楽が、しっかり音を表記した楽譜の導入によって男声、女声に別れる大きな変化を迎えたと確信しました。それには学校教育の中で男女は言うに及ばず西洋音楽の理論に従った声区わけが行われてきたことも拍車をかけたと思われます。

しかし、それが逆に邦楽の魅力をなくした面もあると思うのです。藤圭子さんは浪花節語りだった父親の指導であの凄みのある声を身につけました。

先日、画家である親友と表現について話をしていたとき、「ピカソの偉大さは、彼がまるで9回生まれ変わったのかと思われる程の表現の多彩さにある」という話を聞きました。多彩な表現を持つために、性別の違う表現をコピーするのにチャレンジしてみるのもよいでしょう。