ヴォイトレレッスンの日々  

ヴォイトレに関わっている方とブレスヴォイストレーニング研究所のトレーナー、スタッフの毎日をとりあげていきます。

違うやりかた

発声のトレーニングは、いつもすべてが自分に当てはまることはないと言っていいでしょう。いくつかの例を書いてみます。

1.声楽のトレーニングの一つに「顎を引く」といわれることがあります。顎を押さえながら歌う人もいるくらいです。しかしパヴァロッティのフォームをみてみましょう。顎は高音になればなるだけ前に出てきます。

2.腹式呼吸を意識してお腹を膨らませるよう指導されることは多いです。しかし、黄金のトランペットと呼ばれたマリオ・デル・モナコの十八番、歌劇「道化師」で、彼が息をすると信じられないほど胸が膨らみパンパンであったと言います。

3.「舌は力をいれず、自然にしておけ」と教わることは多いですが、多くの一流の歌手たちは「舌の圧迫」ということをやっています。これは意図的か、無意識か  は問えませんが、実際に行っている人は多いです。女性に多いのは下の前歯に舌を集めている人、男性で多いのは舌を奥にもっていったり、高い位置に持ち上げている人です。

私はこの男女の違いをイタリアの発声研究機関の会長に直接伺いましたが、やり方の問題だけで起きている現象は同じと言っていました。

3つの例を挙げましたが、このほかにもよく言われることと実際の個人の問題では、全く違うやり方が存在しうるということは知っておいてもいいと思います。(♭Σ)