ヴォイトレレッスンの日々  

ヴォイトレに関わっている方とブレスヴォイストレーニング研究所のトレーナー、スタッフの毎日をとりあげていきます。

個性とは

学ぶことの基本はまねぶ、真似をすることだと書きました。誤解のないように言葉を少し足しておきたいと思います。このコロナ禍の中で私は江戸落語の映像をYouTubeで見まくりました。その中で気になったものが立川談志さんの三人のお弟子さん、立川志の輔さん、立川志らくさん、立川談春さんの三人です。それぞれに師匠との思い出を語る中で談志さんの真似をするのです。一人ずつ聞いて居ると、立川談志そっくりなのですが、それぞれに少しずつ違うのです。それを見ながらあぁこれが個性というものかと思いました。昔、まだ二十代の頃、私は師匠の言いつけで彫刻のモデルのアルバイトをしたことがあります。普通ならお話しすることさえ叶わぬほどの作家の先生との時間を緊張しながら務めました。作品を作りながらいろいろな話をして下さるのですが、その中で「個性って何だと思う」と質問されました。とっさのことで答えに窮しました私は、紹介下さった師匠の手前、お宅のお弟子さんは何にも判っていませんねと思われるのも口惜しく、必死で考えて、「その人の持って生まれた血ですか」と当たり障りのない答えをしました。すると先生はふっと笑って「個性というのはその人の欠点のことですよ」と言われました。なんかとりとめのない話になりましたが、私は真似をすることと個性との関係をこのような観点から捉えております。