ヴォイトレレッスンの日々  

ヴォイトレに関わっている方とブレスヴォイストレーニング研究所のトレーナー、スタッフの毎日をとりあげていきます。

エンリーコ・カルーゾの声について考える。

カルーゾはオペラ史上最も有名なテノールの一人です。無声映画や蓄音機の普及で世界中で知られた存在になったイタリア人歌手です。彼の録音を聞くとまずは思うのは、録音が残っている古い時代のテノールに比べてかなり声が太く中音域が充実しているということです。
日本で学ぶ声楽の多くは「響きを高く、声を明るく、力まずに」ということが出てきますが彼の声はこのようなことを超えた声を出しているの思えてきます。
まず彼の声は基本的にかなり響きが集まって聞こえます。しかしこれは呼吸と横隔膜の使い方、斜腹筋の究極ともいえる使い方で響きを生み出しています。自分から響きを集めているというよりは身体で響きを生み出しているいう印象です。私の一番印象深い点は声が暗めということでしょうか。この暗さがジラーレとアクートを生み出していると思います。(文字にすると誤解を生むことが多いので実感してください。)
カルーゾの声を聴くと音域の広さに驚きますが、マリア・カラスの音域の広さにも驚きます。カラスの声を聴くと頭声だけで歌うソプラノはびっくりするかもしれません。
おそらくカルーゾのような発声を100人やっても一人それっぽいのが生まれるくらいのレベルの発声だとおもいます。
でも歴史上にはこんな発声をした歌手がいるということは全くの不可能ではないともいえます。(♭Σ)