出版社の縁の下の力持ち、校閲部の日々を描いた漫画。登場するレジェンド校閲者の、文章や本への温かな気持ちが素敵だ。校閲と作者はゲラで戦う、この意味は、校閲者は作品に対して感動する気持ちを持つからこそ、作品を良いものにするために協力し、ときに作者と戦うこともあるという。また、机に張り付いて黙々と校閲するタイプの多い中で、このレジェンド校閲者はたくさんの人を飲みに誘い、おおいに話をする。しかしそれは、文は人そのものだから。著者の気持ち、編集者の気持ち、読者の気持ちをわかるには辞書を引くことではなく、会話が必要という持論だ。この本は、自分の焦る気持ちを落ち着かせてくれた。このところ、自主トレ不足がたたっていると感じている。やらなきゃならないのに、親たちの世話など、雑事に時間がたくさんとられる。しかし、何かを捨てなければいけない、と思うと、かなり追い詰められてしまう。考えてみれば、ステージでは人間のお客様を相手に歌っているわけだから、介護などの人とのかかわりは、人に聞いてもらえる歌にするための勉強と、ラフに考えよう。発声練習を重ねて良い声を作るのも大事だけれど、同じ時間を親たちの世話に割くことも人間の勉強として大事だ、と考えたら気が楽になった。