ヴォイトレレッスンの日々  

ヴォイトレに関わっている方とブレスヴォイストレーニング研究所のトレーナー、スタッフの毎日をとりあげていきます。

「終戦記念日」

今年も終戦記念日を迎えました。今現在日本が交戦状態でないことに感謝する一方で、世の中にはまだ戦争で苦しんでいる人々がたくさんいます。一刻も早い世界の平和を願うばかりです。

平和のために文化の力を!とはよく言われますが、ここでは歌や声を含む「文化」がどのように平和に貢献できるのか考えてみましょう。

普段、芸術で生きている人は、「自分勝手」「好きなことばかりやって」と社会から白い目で見られることが多いと思います。実はこれこそが戦争に対抗する力になるのだと思います。

「他人のために」という考え方は立派なようですが、「人の目が気になる」ため兵役を拒否できず、また「他人のために」は「お国のために」となり、たくさんの悲劇を生みました。

私たちアーティストは、ただ単に「自分の好きなことをやりたい」ゆえに、基本的に戦争に行きたくありません。世界平和の胡散臭い歌など歌わなくてもよいのです。「やりたくないことはやらない」と決意した人が増えていきさえすればいいのです。第二次大戦中、フランスにアンドレ・ヴェイユという数学者がいました。彼は兵役を拒否しました。理由は「私は数学の問題を考えたいので兵隊に行きたくない。」というものでした。これって素敵だと思いませんか。これこそが文化の役割だと思います。
学徒出陣の軍服と、就職活動のスーツが、私にはパラレルに見えます。徴兵、神風特攻隊、もっと逃げる人たちはいなかったのでしょうか。従順に就職活動し、従順に「嫌いな仕事」に通っている日本人は、「みんなが行っているから」という理由で兵隊に行ったのでしょうか。神風特攻隊に行く前の夜は若い兵隊は涙で枕をびっしょりにして、翌朝けなげに旅立ったということです。死にたくないという感情に正直に、なんとか逃げることはできなかったのでしょうか。

私たち一人が「自分のやりたいことをやる」ことこそが平和への近道に思えてなりません。一刻も早い世界の平和を祈りつつ。