ヴォイトレレッスンの日々  

ヴォイトレに関わっている方とブレスヴォイストレーニング研究所のトレーナー、スタッフの毎日をとりあげていきます。

進化と失うものと

うちでは子供が大声で歌いながら走り回っています。保育園にいって、他の子供たちも含めてみてみると、やはりパワーに圧倒されますが、それよりも子供たちの歌のうまさに驚きます。素直に声は出ているし、音痴な人はいません。2つの理由が考えられます。1つは誰も小さい子に、歌が下手だとか言っていないこと。彼らはおそらく自分がうまいと思っています。もう1つの理由は、人間も何歳かまでは絶対音感があることです。

人間が進化の過程で、おそらく言語の獲得と関係があるのだと思いますが、絶対音感を放棄したとまでは言わないものの、少なくとも不要になった。だから多くの人が成長の過程で絶対音感を捨てます。音楽の早期教育に多少とも意味があるのは、早くから音楽に接することで、もともと持っている絶対音感を「忘れないで」いることができるのでしょう。そう考えると、現代の人類には絶対音感は不要ともいえます。音の高さに関係ない言語で人はコミュニケーションをとるからです。

進化によって、何を得て、何を失うのでしょうか。少し広げて考えると、何かができるようになることで、逆に失ってしまうものはないでしょうか。少し考えてみるといいかもしれません。

ちなみに、音痴な人は「キャー」と叫べないようです。逆に「キャー」と叫べる人は(本人が音痴だと思っていても)実際は音痴でなく、少し訓練すると音が取れるようになるそうです。でも子供たちはみんな叫べているので、どこかで叫ぶのをやめるのでしょうか、それとも本当にあるときから叫べなくなるのでしょうか。