ヴォイトレレッスンの日々  

ヴォイトレに関わっている方とブレスヴォイストレーニング研究所のトレーナー、スタッフの毎日をとりあげていきます。

書きとめる、口に出す

皆さんはレッスン中にメモを取っていますか?

録音するのでメモは取らないという人、あるいはレッスンのテンポが速すぎてメモする暇がないという人も多いと思いますが、私は少しでもメモを取ることを推奨します。

文豪ゲーテは「言語化されなかった思考は、存在しないのと同じである」と言っています。つまり、感じたこと、閃いたことなどは、そのときにわかった気でいても、言葉に変換しておかないと消えてしまうということです。スマホにメモするのも悪くないですが、自分の手で書く方が頭に入ります。さらに、口に出してみるとより強固なものとなります。

演出家や監督になったつもりで、歌や詞について誰かに説明してみるのも効果的です。

 

私はレッスンではなるべく具体的に説明するよう心掛けてはいますが、時折、抽象的な表現や比喩表現も使います。人の声という神秘は、最終的には感覚です。だからフワッとした表現にならざるをえないことも多いのです。きっとレッスンを受ける側からすると「?」と感じることでしょう。

でも、その場で理解できなかったことこそメモしておいてください。今わからなくても、いつか役に立つ日が来ます。あるレベルに達したらパッとわかることもあるのです。

今、私を一番助けてくれるのは、既に亡くなっている師の言葉です。10年前には「この人は何を言っているのだろう」と感じた、楽譜にメモしておいた言葉です。