東京コットンクラブで、奄美民謡とアイヌ音楽のコラボAmamiaynu(アマミアイヌ)のスペシャル・ライヴが行われました。
○元ちとせさんと民族の血
このまえ元ちとせさんの声のことが話題になりました。彼女の声は最初聞いたときには違和感があります。違和感があるというのは、一つの個性なのです。それが伝統芸能に裏打ちされ、民謡の世界でチャンピオンになっているくらいの力があるということは、その中で一つのルールなり、法則が回っているということです。それが理解されるかされないかというのは別の話です。でもレベルとしては、それだけのものをもっているということになる。もし偶然にそっくりな歌い方をしている人がいたとしても、その中に一貫したルールとか、方向性がなければ、たぶん人には通じない。
そういうものは一人だけでは難しい。島唄でも民謡でも、長年みんなが練って作ってきたというようなものがあれば強い。本来その部分がない音楽というのは成り立たないのです。 ボサノヴァみたいに人工的に創り出された音楽でも、その血が流れているところの上に生まれてきた音楽です。そうなってくると受け継がれたかどうかというよりも、形としては自分の血になっていくのです。血というのは、そこに住んでいるところの風土、習慣、食べ物、そして人とのコミュニティの部分でもあります。