ヴォイトレレッスンの日々  

ヴォイトレに関わっている方とブレスヴォイストレーニング研究所のトレーナー、スタッフの毎日をとりあげていきます。

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私の持論はこれまでも述べてきました。(拙書「読むだけで…」に、ヴォーカルのリストあり)

 トレーナーとしては、プロとしてやれている歌手のよしあし、好き嫌いはどうでもよいのです。そうでない人が誰をどう見本や参考にして、何をどう学ぶかということです。それは一概に言えないのです。相手(生徒)の目的やレベル、方向、優先すべきものによって違うからです。

 他のトレーナーのように「この人を聞きなさい」とは言いません。まして「この人は聞かない方がよい」とは、もっと言いません。どんなプロ、いやどんな人からでも学べる、学ぶ力がプロであること、それをプロのように学べる力をつけていくことがトレーニングです。 

 それでも、私がこのようなもので気がかりなのは、現在の日本人のなかでも、歌に耳があると思われている人の評価のあり様です。この評価のケースで出てくるプロデューサーや歌手、トレーナーは、今の日本の一端を代表しているからです。

 私なりのランキングは、声中心ですから違います。すでに今の時代、ヒットする日本の歌は声中心ではないので合わないです。それも踏まえた上で、声に戻ることが基本だと言いたいのです。ですから、いささかクラシックな考えになります。1960年前後のポップスなどでは、すでに50年以上経ち、当時のリアルタイムで聞いていたファンが伝えてきたとしても、クラシックになりつつあります。

 つくられたときにいた人がいなくても継承し続けたところでクラシックとすると、早くて80年、およそ100年経てからの評価です。著作権の切れたところあたりから後のことですね。

 時代を超えた、ということ、国を超えて自国のファン以外にも愛されてこそ、クラシックといえるのです。それは、このランキングでは、到底なしえていないのです。