ヴォイトレレッスンの日々  

ヴォイストレーニングに関わっている方と、ブレスヴォイストレーニング研究所のトレーナー、スタッフの毎日をとりあげていきます。

目に見えない幸せ

皆さん、大きな声で笑ったりすること、本当に減りませんか。大きな声で歌ったり、笑ったりしたときの何とも言えない身体の解放感を味わった感覚さえ思い出すのが難しくなっていませんか。

私は、歌うことはもちろん、大きな声で笑うことさえ、気をつけて半年以上生活していました。その生活の中で、一番顕著に感じている自分の体の変化は、歌う時の呼吸が浅くなったことです。それを回避するために、歌う前のウォーミングアップに多くの時間がかかるようになりました。それを怠ると声の消耗が早くなり、喉が嗄れやすくなりました。

私は歌手ですので、日頃から平時の時も呼吸の深さを意識して生活してきました。そうしないと、歌う時だけ腹式呼吸を使えば呼吸が深くなることはないからです。理論上であったり、日頃の訓練の成果で、歌う時は必ず呼吸が深くなるとおっしゃる歌手の方はもちろんいらっしゃると思いますが、これだけ長い時間マスクを毎日着用している生活が続くと、呼吸するということを意識していても、睡眠時もさることながら無意識の時間にどんどん口呼吸として定着化していき、自らの体もそれを覚えて、それこそ無意識のうちに浅い呼吸が擦り込み教育のように訓練されているように感じます。

歌う際にも、深く息を吸おうと思うだけで、力みが生まれたり、今ではマスクをつけるだけで息を吸うことが止まっていく感じがします。耳の後ろのゴム紐も、緩くしていても耳に引っ掛けていることが耳の周りのリンパの流れを止めているとさえ感じます。

それで、私が日頃始めた習慣は、左右の脇腹の肉を動かすことです。前屈、後屈は日常生活で意外と動かしているのですが、横に体を動かすという行為はラジオ体操とかストレッチとかやらないと本当に動かさないんだと気づきました。胸を開くという行為も、脇腹の横の肉を伸ばしたり縮めたりして動かしてから肩甲骨をしっかり寄せるという意識で胸を開くと、とても体の解放感が得られるのです。びっくりするくらい効果が変わるので、体の横の筋肉を動かす機会を作って下さい。

呼吸が楽に入るようになると、精神的な安堵感も、解放感も、喜びも満足感さえ得られる気がするのです。

ただでさえ、「ニューノーマル」と言われる今の社会生活で窮屈な毎日と感じている私にとって、ただ息を吸う、楽に空気が入ってくることは大きな幸せの一つだと感じます。幸せの形や大きさって目に見えない物もたくさんあるのだと感じる経験を、日夜感じています。