ヴォイトレレッスンの日々  

ヴォイトレに関わっている方とブレスヴォイストレーニング研究所のトレーナー、スタッフの毎日をとりあげていきます。

正しいレッスン

いつも正しいレッスンをしようと心がけていますが、正しいレッスンとはいったい何でしょうか。世界的な歌手の先生は必ずしも名教師ばかりではなく、ほとんど独学で世界的な実力をつけた人も多く、何とも言えません。発声法も人によってそれぞれであり、できそうなことは、そのままでは喉を壊しそうな人に対して「だめ」というくらいなのではないかという気が最近はしています。

有名な指揮者のセルジュ・チェリビダッケは、厳しいリハーサルで知られます。あるインタビューで「リハーサルでは無数のノーが繰り返される。速すぎる、遅すぎる、高すぎる、低すぎる、だめだ、だめだ、の繰り返しだ。本番だけがイエスだ。」と言っています。

できればトレーナーは、全否定の存在でありたいと思っています。発声から入る教師が多いと思いますが、できれば私はいきなりアカペラで曲を歌ってほしいと思っています。曲を歌う(ナレーションをする、etc)が実際にアーティストとしての目標だからです。そして、ブレスがダメ、響きがダメ、音質がダメ、リズムがダメ、とダメ出しのオンパレードをしたい。どんなレベルの人が来ても、ダメ出しのオンパレードができる教師でありたいと思っています、芸術は深いのですから。

ところがダメ出しのオンパレードでは人がいなくなってしまうので、サービス精神を発揮してしまうのです。トレーナーが、あなたにとって厳しすぎる、と思うときそのレッスンはうまくいっているのです。またトレーナーとの人間としての相性もあります。人間としての相性が悪いほうが、音楽を習うにはいい気がします。なんとなく感じる居心地の悪さが、よい化学反応となることが多いようです。(♭∴)