ヴォイトレレッスンの日々  

ヴォイトレに関わっている方とブレスヴォイストレーニング研究所のトレーナー、スタッフの毎日をとりあげていきます。

芸事の習い方

芸事は人から習う必要があります。なぜその必要があるのか、学校教育との対比から考えてみましょう。

確かに学校教育も人から習いますね。「教師」という職業の人たちがいて、教えることを職業にしています。しかしAIやインターネットの普及とともに教師の仕事は必要なくなるのではないかといわれています。実際北欧のある国では、自分でパソコン教材を進め、教師の代わりにインストラクターやコーチという名称の人が配置されているそうです。 実は勉強は一人で本を読めばできるし、その方が効率がよいことも多いです。

さて、学校教育で「独学」が可能なのはどこまででしょうか。高校を卒業して大学に入ります。大学レベルの教育は人に習わなければならないのではないか。いえ、実は大学に教師はいません。「え、教授がいるのでは」とお思いでしょうが、大学の教員は一人も残らず、100パーセント、研究者としての論文執筆の業績のみで雇われているのです。だから授業は下手くそでも構わないし、授業をしない教授もいるし、授業は「人の貴重な研究の時間をとりやがって!」と内心怒りに震えて行われているのです。大学特有の大人数講義、独特の緩い単位認定はこの理由でしょう。

しかしその先、大学院に進学して研究者になろうとするときには、指導が必要です。大学院では、密な少人数教育になります。教授の専門分野をまさに徒弟制度でディスカッションしながら習うのです。(近頃「考える力」をはぐくむ教育改革が叫ばれていますが、知識を入れる勉強を突き詰めてもどこかで少人数セミナー形式に行きつくのでそれを幼い時からやることに教育効果がどれだけあるかは疑問です。)本に書いてあることをわかるまでのレベルは、一人でやっておけよ、ということです。私は個人的には教えることで人の時間をとるのはこの「大学院レベル」の教育にしか必要ないと考えています。レッスンでもそうあった方がお互いのためによいと思います。(♭∴)