ヴォイトレレッスンの日々  

ヴォイトレに関わっている方とブレスヴォイストレーニング研究所のトレーナー、スタッフの毎日をとりあげていきます。

文化の違い 

声楽という分野を勉強するうえでイタリア語を歌ったことがない人はほぼいないと思います。イタリアの古い歌から勉強することが多いのですが、なぜ母国語や世界で多く使われる英語ではなくイタリア語なのでしょう。ここはレガート唱法、母音、母音数など見解がわかれるところがあるので言及はしません。しかし、イタリア語の歌を歌う時には「しゃべるように歌え」と教わることもあります。これは日本語のしゃべるではなく、イタリア語のしゃべるなので声の深さ、喉の位置、舌の位置、体の使い方、口腔の広さなどが私たちとは異なり、まさにイタリア語という文化の中から発声法が生まれてきたと考えてよいと思います。

コロナウイルスでイタリアは大変な状況です。しかし、音楽家たちがベランダで演奏し、それを近所の方々が聴いて拍手を送りあっている。特別に防音室やスタジオで歌うのではなく家のベランダで自然発生的に音楽を演奏し、歌い、歓声をあげる。日本では家の窓を開けてオペラのアリアを歌うなんてことはありません。しかし、大きな声、響く声を皆で喜びあえる文化だからこそ、発声という分野が進化していったのではと思ってしまいます。(♭Σ)