ヴォイトレレッスンの日々  

ヴォイトレに関わっている方とブレスヴォイストレーニング研究所のトレーナー、スタッフの毎日をとりあげていきます。

おすすめオペラ

ヴェルディの椿姫(La traviata)は、日本では意外とやる機会が少ないように感じます。おそらく3幕で手紙を読むシーンでイタリア語でせりふを読むことに抵抗があるのだと思います。原作はデュマ・フィス(フィスは息子という意味。父親は作家のデュマ。父親はモンテクリスト伯や三銃士で有名。現代にも残っている息子の作品は椿姫のみ。)主人公の椿姫は実在の人物がモデル。高級娼婦でデュマ・フィスの恋人でもあった。また、かの天才ピアニスト・作曲家フランツ・リストの恋人でもあったそうです。若くして結核でなくなりますが、その生涯を終える直前の唯一の大恋愛がこの小説で描かれています。(デュマ・フィスが自分との恋愛を美化して描いているのだと思います。)原作の小説は、主人公の男が今は亡き椿姫の墓を掘り起こし死体を見てその腐敗し始めた死体に気絶するシーンから始まります。かなりグロテスクですがこのシーンはオペラにはありません。また、小説では椿姫は孤独に失意のうちに苦しみぬいてなくなりますが、オペラでは、死に際には恋人アルフレード(と父親のジェルモント)に会えることになっています。とにかくこの父親がしゃしゃり出てきて椿姫とアルフレードの中を引き裂こうとするのです。オペラでは最後に反省して出てくることで、いい人っぷりが多少は表現されています。原作の小説は、父親が異常に意地が悪く、また椿姫の不幸っぷりも底がないように思います。というわけで個人的には小説の方が好きです。皆様も見比べてみてください。(♭∴)