ヴォイトレレッスンの日々  

ヴォイトレに関わっている方とブレスヴォイストレーニング研究所のトレーナー、スタッフの毎日をとりあげていきます。

量をこなす

プロとアマチュアの差は、まずは圧倒的な量です。アマチュアのピアニストが半年で一曲を仕上げるのと違い、プロは一日で一曲を仕上げなければなりません。この圧倒的な速さの差は、ほかの業界にはないものだと思います。物書きで言えば、半年に一冊本を書くのと、毎日一冊本を書くのとの差です。ありえなくはないですが、よほどのモウレツ作家でない限り少し現実離れしていますよね。(私も自分の先生に習っている身なので自戒の気持ちで書きますが、音楽のレッスンに関してだけは、自分の200倍くらいの先生の時間を奪っていることになるのです。友人とお茶を飲む30分とは違うのです。)

なぜこんな速さが必要なのかといえば、プロとしてすぐに演奏できなければならない曲はだいたい300曲から500曲。(細かいものまで含めますが。この中でオペラは大体50曲くらいでしょうか。)レパートリーを忘れないようにするためにも一日に一曲でも一年かかるからです。

なぜこんな速さが可能なのかといえば、ソルフェージュの力です。プロのピアニストなら、どんな楽譜を見せられても、初見で最後までほとんど間違えずに弾きます。残りの時間で音色を作ったり、暗譜したりすることで、一日一曲仕上げるのです。プロの指揮者なら、何十段もあるスコアをピアノでよどみなく最後まで弾きます。

その事実を知ったうえで、皆さんはぜひ楽譜を読む速さ、特にリズム感を身につけてください。ことばのレッスンを受けている人は、量をこなすために、夏目漱石の全集を音読してみてください。(♭∴)