ヴォイトレレッスンの日々  

ヴォイトレに関わっている方とブレスヴォイストレーニング研究所のトレーナー、スタッフの毎日をとりあげていきます。

「五輪書」 (宮本武蔵)に見る”上達の過程”

当研究所に入会して今年で10年が過ぎましたが、思えばいろんなことを学びました。
その中には今も意識しているものもあり、忘れてしまったものもありますが、さらなる上達のためには今も意識しているもの、というよりは拘っているものを一旦忘れてみることも必要になることがあります。
江戸初期の剣豪として名高い宮本武蔵がその晩年に肥後熊本藩の指南役になったときにまとめたものが「五輪書」です。
五輪塔に擬え、以下のように地水火風空の5巻から構成されております。
地の巻:武士の社会的役割と兵法(武術)を学ぶ意義
水の巻:剣術の基本技法
火の巻:実戦場での心得と心理戦法
風の巻:他流批判
空の巻:最後に到達すべき境地としての「空なる心」
これらを学習過程として見てゆくと、
地の巻:自分は何のために学び、学んだことをどのように役立てるのかを決める。
水の巻:基本的な技能を習得する。
火の巻:習得した技能で他者に働きかける。(ビジネスではサービスで顧客の役に立つ)
風の巻:技に囚われる心の危険性を警告し、そこから脱して自由自在の境地へと進化させる。
空の巻:結果として、一切のものに囚われない「空なる心」となる。
10年を経て学んできたものの中に今も拘っているものがあれば、それを一旦忘れてみるのも新たな進化のためには良いのかも知れません。(YD)