ヴォイトレレッスンの日々  

ヴォイトレに関わっている方とブレスヴォイストレーニング研究所のトレーナー、スタッフの毎日をとりあげていきます。

トレーナーのアドバイス

呼吸は、発声にとって、とても大きく影響を及ぼしてくる身体活動です。日本では、当たり前のように、腹式呼吸の重要性が言われていて、発声に興味のある人なら誰でも、そのことを知っているでしょう。
そんな私も、腹式呼吸のトレーニングメニューなど、いろいろと話もしていますが、学生時代に私の先生から、「呼吸は肺でするのだから、お腹で息は吸わないよ。」と言われ、「やはりそうか」と思ったことを、今でも克明に憶えています。私の先生は、当時の日本でもかなり人気の高かったドイツ人オペラ歌手に、ドイツで学んでいらしたので、当時、翻訳物のオペラの発声の書物には、腹式呼吸のことはまったくといっていいほど出てこないことへの疑問が、スーッと解けた気がしました。
腹式呼吸は、発声にとって、とても有効で役に立つものですが、オペラ歌手らしい声を出すためには、必ずしも重要ではないということです。日本では、武道や邦楽の影響で、「丹田」や「腹から声を出す」方式が、当たり前のように広まっていますが、腹式呼吸に偏り過ぎると、オペラ歌手らしい声は、出し難くなるという側面もあるのです。(♭Ξ)