ヴォイトレレッスンの日々  

ヴォイトレに関わっている方とブレスヴォイストレーニング研究所のトレーナー、スタッフの毎日をとりあげていきます。

ミルバが歌うヘンデル作曲「樹木の影で」

カンツォーネ歌手ミルバが歌うヘンデル作曲歌劇セルセ「樹木の影で」(ombra mai fu)の動画を聴きました。声楽を勉強する人が一度は通る曲の一つだと思います。有名な曲なので生涯にわたってコンサートなどで歌われる曲です。

声楽曲の中でのバロックと呼ばれる時代の音楽ですから、音楽のスタイルの賛否はあるかと思いますが、その声のポテンシャルは学ぶべきところが多々あると思います。

喉頭の低い場所での発音、音の暗さ、口の開き方、音楽的なアプローチなどは、日本人が苦手としているところであり、まず共鳴から指導が始まってしまうと、これらのことはおざなりになりがちです。しかし、実際イタリアでイタリア人と喋ってみると基本的に声の鳴っている場所が低く音域としては暗いことに気づきます。また声が明るいかと言われると明るくはありません。低いポジションから息と声のパワーで歌いきってしまうミルバの声のポテンシャルは素晴らしいと思います。

そして歌うよりもしっかりと言葉を支えていることが一番驚きます。どうしても我々は音やメロディを支えがちなのですが、本来は言葉を支えることが重要なのです。メロディだけなら何語を勉強してもいいと思うのです。しかしイタリア語やスペイン語は言葉を支えると音楽が生まれてくるので、声の勉強に向いていると考えます。一つの言葉を体で支えるだけでもとても重要なトレーニングとなります。

音楽的な好みではなく、声のポテンシャルを知るという意味でも重要だと思いました。(♭Σ)