ヴォイトレレッスンの日々  

ヴォイトレに関わっている方とブレスヴォイストレーニング研究所のトレーナー、スタッフの毎日をとりあげていきます。

背中で動く

地方のビジネスホテルの朝食を食べたときのことです。ウェイターがイタリア人で厨房のイタリア人シェフと、イタリア語で会話をしていました。安いビジネスホテルの、レストランというよりは食堂のような空間で、決してプロのウェイターではないだろうと想像できる彼が、チャラチャラと動き回りながら、少ない宿泊客に朝食を運んでいました。
はじめは、少し残念な気分でしたが、そのうちに彼のチャラチャラとした動きの違和感に、頭がくぎ付けになりました。レストランの入り口を入ってテーブルに着いたときに、横目でとらえた彼の動きは、歓楽街的なチャラチャラだと思ったのですが、落ち着いて観察してみると、日本の街でよく見かける、そういう人たちの動きとは、まったく違うのです。
カタコトの日本語で、朝食を運んできてくれた彼の動きを、頭の中で体感・同調しながら感じてみると、どうやら、背中が中心になって、動き回っているようなのです。それまで、「背中で動く」というフレーズは、バレエダンサーから聞いて、知識としては知っていましたが、日常的な動きの中で背中を使っているというのは、初めて目にする光景でした。それ以来、声を背中で支えるというのも、悪くはないものだと、思うようになりました。(♭Ξ)