私がレッスンさせていただいている声優さんの多くは養成所などでは「役者」の勉強を多くなさっています。それがカリキュラムのメインの養成所もあるようです。私はそれ自体はとてもいいことだと思いますし、おそらく声優というジャンル自体は跡付けで、元来はアナウンサーや役者などが行っていたものが一つのジャンルとして成立ってきたというものだと思うからです。
しかし現在の声優さんの声を聴いていて思うのは役者としての声の「強さ」「大きさ」「スケール感」よりも「多様性」のような気がするのです。例えばドラゴンボールの孫悟空やゲゲゲの鬼太郎でお馴染みの野沢雅子さん、クリリン、ONEPIECEのルフィの田中真弓さん、ガンダムのアムロ、巨人の星の星飛雄馬などの古谷徹さんなどは声を聴けば誰かわかります。野沢さんなどは孫悟空と孫悟飯の幼少時代も大人になってからも同じ声質のトーンの違いや間、喋り方などで違和感なく演じていますが、あくまでも野沢さんの声です。古谷さんにいたってはアムロも星飛雄馬もほぼ同じです。このようにベテランの声優さんの皆様は自分の声というものを確立した状態で様々な役をこなしていらっしゃると思うのです。
しかし現在の声優さんは一人で様々な声を使い分けれることの方が重要視されているように私には感じます。
例えばAmebaのガールフレンド(仮)などの女声の声優さんは皆同じ様な声(かん高く、子猫のような甘えた)で正直無個性だと思うのです。出演者全員のもとの声がこのような声ならしょうがない部分もありますが、朝の情報番組などでは声優さんが色んな声をだしてパネラーがクイズに正解すると顔が見えるというようなコーナーがありその時には様々な声をだしていました。その中に例のかん高い、ニャンニャンした声もだしていました。
それを見えていて今の声優さんはどちらかというと役者としての劇場での声というよりモノマネ芸人のように声色を変えたりする方向に変化していっているのではないかと思うようになりました。
そうなってくると案外吉本興行のお笑い養成所などのほうが効果が高いのではないかという気もしています。
でも声優もアイドル化していますから今までのようにはいかないとは思うのですけどね。(♭Σ)